著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

スポーツ観戦の意外な効果とリスク…健康と幸福感に多面的な影響

公開日: 更新日:

 スポーツを趣味とすることは、筋力の増強やストレスの解消など、健康状態の維持や改善に効果的だと考えられます。スポーツを観戦することもまた、アスリートの優れたスキルに感動したり、競技に打ち込む姿勢に共感したり、あるいは観戦者の幸福度を高めたりすることもあるでしょう。

 このような感動や共感の体験は健康状態にも良い影響をもたらす可能性があります。そんな中、スポーツ観戦と健康状態の関連性を検討した研究論文が、予防医学に関する国際誌の2024年12月号に掲載されました。

 この研究では、明治安田新宿健診センターで健康診断を受けた6327人(平均50.7歳)が対象となりました。スポーツ観戦の頻度について、テレビやインターネットなどのメディアを通じた観戦では、「全く見ない」「月に1~3日」「週に1日以上」に、スタジアムでの直接的な観戦では「全く見ない」「年に1日」「年に2日以上」に分類され、健康状態との関連性が解析されました。

 その結果、メディアによるスポーツ観戦では、全く見ない人と比べて、週に1日以上の人で、身体活動の低下リスクが6%低下し、幸福度が8%増加しました(いずれも、統計学的に有意)。一方で、高血圧のリスクが9%、糖尿病のリスクが16%、統計学的にも有意に増加するという負の側面も認められました。ただし、直接的なスポーツ観戦では、高血圧や糖尿病のリスク増加を認めず、年に2日以上の人では、脂質異常症のリスクが11%、統計学的にも有意に低下しました。

 論文著者らは「スポーツ観戦は、健康状態や幸福感に多面的な影響を与える可能性があり、その影響は観戦方法によって異なる」と考察しています。

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