ザギングアイ症候群…不定愁訴の原因は加齢で起こる「斜視」かもしれない
「目の周囲を取り囲むように存在する靱帯を眼窩プリーといいます。この眼窩プリーは、眼球の赤道部を外側から鉢巻きのように巻いて、眼球の位置がずれないようにしています。ところが眼窩プリーはコラーゲンを多く含んでいるため、加齢で劣化し、たるみやすい。そうやって眼球の位置がずれて起こる斜視がサギングアイ症候群です」(後関医師=以下同)
サギングアイ症候群は、年を取ればだれもがなる可能性がある。一方で、サギングアイ症候群はなかなか診断に結びつかない。その理由として、患者側と眼科医側の双方の問題点がある。
患者側の問題点としては、眼科に行くきっかけを見つけにくいこと。眼球の位置のずれは少しずつ起こるため、軽い斜視のうちは見た目でわからず、見た目でわかっても「年だから仕方ない」と思いがちだからだ。
さらに、症状を自覚しづらい。斜視の症状は「ぼやける」「ものが2つに見える」「焦点が合わない」「立体感の喪失。距離がつかみにくい」「乱視っぽい」などだが、月単位、年単位で症状が進行するので、たとえぼやけて見えていても、その状態に慣れてしまう。ただし、見え方の不自然さのダメージは受けており、めまいや頭痛、眼精疲労といった不定愁訴を感じていることが珍しくない。