(33)母の暮らし先を探すのに「電話の印象」だけが生の手がかり

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 ウェブサイトのない施設については、グーグルマップで住所を検索し、外観写真や周囲の様子を見てみた。画質が低かったり、撮影が古いものだったりすることもあり、建物の様子は一部しかわからない。それでも、可能な限り判断の手がかりを集めようとした。

 続いて、私は一軒一軒、電話をかけて直接話を聞いていった。電話の印象だけが生の手がかりである以上、相手の応対、言葉遣い、説明の仕方、情報提供の姿勢などで判断するしかない。施設の内部の写真も、職員の様子も見たことがないまま、母が今後の人生を、もしかして最期まで暮らすことになるかもしれない場所を一つに絞らなければならないのだ。

 私は今後の母の暮らしと、私の人生にかかわる最大の難関に挑もうとしていた。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」

【連載】突然、母が別人になった

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