音楽評論家・渋谷陽一さんが死去…「誤飲性肺炎」の誤解と予防法
予防には就寝前に口腔内を清潔に保つ
渋谷陽一さんのケースでは、2023年に脳出血(脳卒中の一種)を発症し、緊急手術を受け、今年に入り誤嚥性肺炎を併発。脳出血では生還したのに、誤嚥性肺炎が命取りになった。脳卒中後に30~65%の患者に嚥下障害が生じ、その中で誤嚥性肺炎を発症するとの報告がある。
誤嚥性肺炎の予防にはいくつか手だてがある。
一つは、就寝前に隅々までブラッシングし、さらに舌ブラシで舌を磨くなどして、口腔内を清潔に保つことだ。
「口の中の細菌を減らすことで、唾液を誤嚥しても肺炎のリスクを下げることができます」(米山さん)
もう一つは、口や舌、喉の筋肉を日頃から鍛えることだ。舌を前に出して「ベー」と声を出す運動や、カラオケなどで歌うことによって口や喉を鍛える方法だ。これによってオーラルフレイル(口の機能の軽微な衰え)を防ぎ、結果的に誤嚥性肺炎の予防につながるとされる。また、食事の後にすぐに寝ないことも大切だという。米山さんは9月に日本歯科医学会学術大会で「“誤嚥性肺炎予防” これは国民の願いであり、歯科のミッションである!」と題して発表する。
これには呼吸器内科の医師たちも参加する予定で、「歯科と医科の医療者が連携して予防や治療に向けて取り組んでいきたい」と話している。
(大家俊夫/医療ジャーナリスト)