老化細胞除去治療「セノリティクス」とは何か?

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 そもそも、老化した細胞はアポトーシス(自死)や免疫細胞によって除去される。なぜ、老化細胞は除去されず蓄積するのか? それは老化細胞にはアポトーシスから身を守る仕組み(抵抗性)があるためではないか--。この仮説を最初に検証するための動物実験は2011年に米国で行われた。蓄積した老化細胞をアポトーシスにより除去できる老化細胞除去マウスを作製。早老マウスとの違いを調べた。

■ヒト臨床試験も始まり、薬剤の探索も

 根来医師は、07年にアポトーシスのメカニズムの一端を解明し、国際的医学誌(The Journal of biological chemistry)に発表して世界的なニュースにもなった。

「早老老化細胞を除去したマウスでは、筋肉の衰えや白内障脂肪組織の減少、脊柱の湾曲など、複数の老化症状が大幅に遅延しました。それによって、運動能力や組織機能が改善し、健康寿命が延長したことなどが明らかになったのです」

 その後、老化細胞の持つアポトーシス抵抗性により強く作用する薬の探索が行われ、白血病の薬でヒトの老化した脂肪前駆細胞に働くダサチニブ(D)、果物や野菜などに広く含まれている天然化合物で老化したヒトの血管内皮にアポトーシスを誘導するケルセチン(Q)が発見された。この2つを組み合わせた薬剤は世界初の老化細胞除去薬として報告された。

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