老化細胞除去治療「セノリティクス」とは何か?
その結果、老化細胞が増えて筋肉を硬くしたり、動脈硬化を起こしたり、組織を線維化したり、慢性的な炎症を引き起こしたりすることで、生活習慣病につながっていく。
生活習慣病は長い時間をかけてゆっくりと進行するため、自覚が乏しい。気が付いた時には深刻な状況に陥っているケースが多い。慌てて治療を始めても、いったん蓄積した老化細胞は簡単には除去できない。その後、いくら厳格に生活習慣を改善したり、薬による治療をしても、老化細胞が残ったままでは発症や病状の進行を止められない。
もし蓄積した老化細胞を取り除ければ、従来の治療では十分抑制できなかった生活習慣病や加齢に伴う病気も抑制できるのではないか? そんな発想による新たな治療法が「セノリティクス」と呼ばれる老化細胞除去治療だ。具体的には、老化細胞を選択的に除去するよう誘導する薬剤「セノリティックス」と、特定の老化細胞の選択的組織破壊分泌状態を弱める「セノモルフィックス」による治療だ。とくに注目を集めているのは前者で、後者は糖尿病薬のメトホルミンや免疫抑制剤のラパマイシンなどの研究が進んでいる。