(2)回復まで4~5年…将来、子どもが欲しいと思っても不妊になる可能性
「不妊治療では排卵を促すために排卵誘発剤を使います。普通は卵胞刺激ホルモンに働きかける薬で効果を得られますが、過去に摂食障害を経験した患者さんの場合は、それだけではなかなか排卵が見られず、さらに別のホルモン剤(ゴナドトロピン製剤)を使わなければならないことが多いのです」(大石診療科長)
また、胎盤の形成が悪くなり、胎児発育不全になる可能性が高くなります。
妊娠・出産以外では、「将来、骨粗しょう症リスクが高まる」と大石診療科長は言います。
「摂食障害で月経が止まり、エストロゲンが分泌されなくなると、骨密度も低下します。エストロゲンは骨の形成と維持に必要なホルモンですが、不足すると骨密度が低下し、骨がスカスカの状態になり、骨折しやすくなるのです。骨密度は20代までに決まるため、そこからはほとんど骨量が増えることはありません。20代までに骨密度の蓄えが十分でないと、高齢になった時に骨粗しょう症のリスクが高まります」(大石診療科長)
骨粗しょう症の高齢者は要介護や寝たきりになりやすいといわれています。骨粗しょう症により骨折しやすく、それがきっかけで要介護になることが多いのです(厚労省「国民生活基礎調査」令和4年)。