寝たきりになった男性はどのように人間力を回復したのか(1)
そんな思いから、まずは気管切開と経鼻経管栄養のチューブを外して口から食事をとれるようにしてほしいとお願いしたのですが、誤嚥性肺炎のリスクがあるからと、希望は受け入れてもらえませんでした。
結局、4カ月後には療養型病院に移りました。ベッドから起き上がらせたり、車いすに座らせることもなく、寝たきりの状態は続きました。
しかしそれでも、「口から食べることができるようになって、リハビリに取り組めば、動けるようになるはず」という思いは変わりませんでした。そこで、インターネットで積極的なリハビリをしっかり行ってくれる全国各地の施設を探したところ、「攻めのリハビリ」を実践している酒向正春先生にたどり着いたのです。
さっそく、酒向先生が院長代理をされていたリハビリ病院に連絡をしてセカンドオピニオンをお願いすると、一度診てみましょうとのお返事をいただきました。そこで、夫の脳の診断画像が記録されたCDを持参して、酒向先生を訪ねました。
くも膜下出血の手術からはすでに7カ月が経過していて、寝たきりの状態が続き、わらにもすがる気持ちでした。しかし、発症時から現在までの脳の画像をじっくりと見た酒向先生は、「寝たきりになってしまうほど脳が壊れているわけではありません。これは『廃用症候群』で重症化しているのではないかと考えます」と診断され、「まだ回復が見込める状態」として転院することになったのです。 (つづく)


















