愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97～2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」（第200回）で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」（光文社新書）などがある。
新型コロナ感染で体と筋肉が弱っていくのを実感した
すべての関節に適切な負荷量をかけて健康的な筋肉を保ち、時には汗を流して心拍数を上げ、心肺循環を保つことが健康に大切なのだと改めて感じました。通常の心拍数は60～80が正常域です。低すぎても高すぎてもよくないので、定期的にチェックしてください。
感染症も含めた急性炎症時は、疼痛や倦怠感が現れます。この際は「安静」と「炎症を抑える・冷やす治療」を行います。その期間は長くても約2週間です。それ以上になると、急性炎症が慢性炎症に変わります。慢性炎症になると、疼痛や倦怠感を改善するには「温める治療」、すなわち、身体運動と筋力増強が大切になります。50歳以上で体を自己管理するのは難しく、数人単位のグループで行うパーソナルジムを上手に利用するのがおすすめです。私も利用しています。
2025年、Nature誌が「毎日5000～7500歩の歩行は、脳内のタウタンパクの蓄積を抑制して、認知機能を守る」ことを報告しました。適切な散歩は認知症の予防になるのです。そして、「筋肉革命95」のトレーニングにより、グループで脳筋連関を促進することが重要です。筋肉増強は骨と脳に良質な刺激を与え、健康寿命を延伸します。筋肉が萎縮した体では健康寿命を保つのは難しいのです。
