著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

(1)政府のホントの狙いはこれ? 高額医療費の限度額引き上げの意味

公開日: 更新日:

 この制度は「医療費の自己負担が家計に過度な負担とならないよう、1カ月あたりの自己負担額に上限(自己負担限度額)を設け、超えた分を大幅に免除する」というものです。超過分については、支払額が1%になります。

 具体的な金額は次の計算式で算出します。
患者支払金額=上限額+(総医療費-〈上限額÷0.3〉)×0.01

 仮に今月の総医療費を100万円としましょう。入院、手術となれば、簡単にこのくらいの金額になります。上限額は仮に5万円とします。これらを上の式に代入すると、患者支払額は5万8333円となります。医療費を100万円使っても、実際の支払いは6万円に満たないので、ずいぶんお得です。

 しかしここで、上限額を10万円に引き上げたとします。すると患者支払額は10万6667円となります。つまり上限額を上げれば、患者の負担が確実に重くなるという仕組みです。

 入院などで、たまたま今月だけ医療費が突出したとすれば、この負担増もなんとか我慢できるかもしれません。しかし治療が長引く人にとっては、限度額の引き上げはかなり深刻です。じつは「OTC類似薬の保険外し」よりもはるかに大きな変更なのです。

 病気になった人を社会全体で支える国民皆保険制度は、国民の安全、安心の基盤となる日本が誇る仕組みです。それがいま、崩壊に向かおうとしているのです。 =つづく

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