著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

「最期の時を自宅で」との願いに込められたさまざまな物語

公開日: 更新日:

 私たちはこれまで、数多くの看取りの場面に立ち会ってきました。在宅医療を選ばれた患者さんやご家族の中には、最初から覚悟を決め、最期の時は無理をせず自然な形で迎えたいと考えている方も少なくありません。

 とはいえ、実際にその瞬間を迎えるまでは、ご家族の気持ちは揺れ動き続けるものです。

 そのたびに私たちは、患者さんやご家族にとって本当に最適な支援ができていたのかを自問し、在宅医療が果たすべき役割について改めて考えさせられます。

 予後(余命)数日とされた、肺がん末期の70代の男性患者さんがいらっしゃいました。

 私たちは2~3日おきにご自宅を訪問し、診察を行っていました。診察のたびに、ご本人へのケアはもちろん、介護に献身的に向き合っておられる奥さまにも、その時々の状態を丁寧に説明していました。

「もう、全然起きなくて」(妻)

「今日、何か召し上がりましたか?」(私)

「トースト半分と、プリンを1つです」(妻)

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