おしっこがしたいのに出ない!
「おしっこがしたいのに出なくて、膀胱のあたりが痛いから、電話してほしいと言うんです。本人がそこまで言うのだから、本当に痛いんだと思います」
同居して介護をしている娘さんから、こんな緊急のSOSの電話が入りました。患者さんは、くも膜下出血の術後、要介護5となった、80代の女性です。
「電話してほしい」と本人が訴えるほどなのだから、相当な痛みがあるに違いない--。娘さんのその言葉に事の重大さを感じ、私たちはすぐに往診に向かいました。
くも膜下出血とは、脳を包む「硬膜」「くも膜」「軟膜」という3つの膜のうち、くも膜と軟膜の間にある「くも膜下腔」に存在する動脈が裂け、出血した血液が脳全体に広がる病気です。原因の多くは、脳の動脈にできた動脈瘤が破裂することによるものです。
この病気の厄介な点は、何の前触れもなく突然発症することです。いったん出血が止まっても再出血を起こすことが多く、発症後そのまま意識を失い、命を落とすこともあります。仮に一命を取り留めたとしても、脳に大きなダメージが残り、後遺症が残るケースも少なくありません。くも膜下出血による痛みは非常に強く、「雷に打たれたような痛み」「バットで殴られたような痛み」と表現されることもあります。しかも時間が経っても治まらず、次第に増していくのが特徴です。


















