(6)肩を震わせ、しゃくりあげるように泣き出した

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 ショートステイに連れていく日の朝。支度を進めていると、

「……行きたくないよ」

 おかんがボソッと呟いた。聞こえないフリをしていると、今度は「行かなきゃいけないの?」ときた。いや、あのね。圧迫骨折の疑いが濃厚でまともに歩けないのに、自宅で暮らせないでしょ。俺も今日は仕事で戻らないといけないのに、どうやって生活するの?

 昨晩さんざん説明した内容を繰り返すこと30分。同意してくれたのか諦めたのか、何とか車で5分ほどのショートステイ施設まで連れていくことができた。入り口は自動ドアだが前に立っても開かない。インターフォンで呼ぶと中から操作して開けてもらう仕組みだった。

 施設の車椅子を借りおかんを座らせている間、出迎えてくれた担当者は「ドア操作は利用者がうかつに外に出ないための配慮なんですよ」と説明してくれた。すると、

「自由に外出することもできないの?」

 苦虫を噛み潰したような顔で呟くおかん。嫌な予感がしたけれど、ここで何か言うと朝の押し問答の繰り返しになるだろう。聞き流して食堂の片隅で入居のための手続きを進めることにした。

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