戦時の健康(5)お金が役に立つとは限らない…いま私たちができる備えとは
忘れてならないのは体力だ。戦時には移動や労働で体力的負荷が高くなる一方、栄養や休息不足で免疫力などが大きく低下する。いくらお金があっても体力は自力でつけるほかない。日頃から体力がつくよう散歩やスポーツをすることだ。
「心」については自分で自分の機嫌を取る技術を身に付ける努力をすることだ。戦時になると誰もが不機嫌になるが、誰も他人の機嫌を取ってくれない。ならば自分で自分の機嫌を取るしかない。
「自分を救うのは自分です。洗顔でも背筋を伸ばして深呼吸するでも構いません。気分を変え、ご機嫌になれる術をなるべくたくさん持っておくといいでしょう。大事なことは自分なりのコツを見つけて継続することです。心の健康は目に見えませんが、身体と同じように日々の積み重ねにより形作られます」(永田氏)
戦時に備えた健康を考えるうえで重要なのは、「医療があること」を前提にしすぎないことだ。
「私たちは、体調を崩しても医療が支えてくれることを当然とする社会に生きてきました。しかし、その前提は決して不変ではありません。むしろ、歴史的に見れば、現状の方が例外なのです。だからこそ、医療がなくても一定程度は持ちこたえられる状態を意識することが大切なのです。むろん、いまの日本で輸入が途絶えたり、日本が直接戦場になる可能性はまずないでしょう。戦前に比べて科学技術が著しく進み、国際関係も比べられないほど強固となっています。しかし、だからといって完全にそのリスクがゼロではないのです」(永田氏)
戦争を望む人はいない。しかし、望まないからといって備えなくてよい理由にはならない。戦時の健康とは、極限状態における特別な知識ではなく、「生き延びるための基本」だ。いざというときに頼りになるのは、お金ではない。日々の習慣で積み上げた「自分の力」そのものだ。=おわり



















