こんな大きいものがとビックリ…歌手の伊藤咲子さん声帯ポリープの手術を振り返る

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術後1カ月が一番大変だった

 一番大変だったのが翌日からの1カ月です。まず4日間は一切、声を発しちゃいけない。沈黙です……。5日目からハミングみたいに少し出していいんですが、1分間のみ。リハビリも声は出さず、水を入れたペットボトルにストローをさして、息をゆっくり吐いてブクブクさせる。これは声帯を鍛える方法でもあるので、やられている歌い手が多いですよ。ただ、ハミングをやりすぎてちょっと腫れたりして、先生に叱られました(笑)。

 それから、1分間の声出しが許されました。ブクブクをやり、軽いハミングをしたら「おはようございます、いとうさきこです」とか、タイマーで1分間計りながら声を出す。そしたら20分沈黙。またブクブクからやる……。

 半月して声出しが2分になりましたけど、朝から晩までこの繰り返しです。会話は絶対にダメ。主人への細かい用事もホワイトボードに書く。気持ちも落ちてつらかった。

 やっと日常会話がOKになったのが、2月27日。本当にうれしかった! でも、長話はダメ。

 3月3日から歌のリハビリも開始しました。自宅で持ち歌を口ずさんだ瞬間です。でも、「なんじゃこれ」ですよ…まったく歌えない。4月の復帰まで少しずつ少しずつ歌って声が出るようにして、歌唱の勘も戻していったんです。

 1カ月間のトレーニングを経て、4月6日にステージ復帰しました。大勢が出演するので2曲でしたが、2カ月半ぶりに人前で歌ったら、高い声は出るのにフラットなキー(地声)からファルセット(裏声)へ上手に切り替えられず、かなり落ち込みました。ファルセットに切り替えるのは得意だったのに……。

 次は4月10日の配信コンサート。今度は全5曲を歌いましたが、4日前よりはるかに声が出ました! 日々治っていき、進歩するんだなと感じました。元の歌唱力に戻るまで半年かかるかもしれませんが、厳しい音域は無理せずに、いたわりながら戻していきたい。

 クリニックには初ステージ後にうかがい、喉をチェックしていただくと「大丈夫。きれいですよ」と言っていただきました。これからはマメに通うと決めています。

 どんな病気も早期発見がよいとは思いますが、喉のポリープは鏡で見られないところなので、違和感があればすぐ診てもらいたいですね。あと、喉は無理しない。私はかなり無理していましたから、手術しなければあと数年で歌えなくなったでしょう。これからは喉をいたわって、あと20年歌いたい。

 ちなみに、1分間の声出しリハビリはすべてレコーダーに録ってあります。「◯月◯日 いとうさきこです、つらいです。きょうもがんばります」なんて弱々しい声で言っている。歌い手である限り、一生消さず、たまに聴くつもりです。

(聞き手=松野大介)

▽伊藤咲子(いとう・さきこ) 1958年4月生まれ。東京都出身。73年にオーディション番組「スター誕生!」(日本テレビ系)で合格し、翌74年に「ひまわり娘」でデビュー。以来、「木枯しの二人」「乙女のワルツ」とヒットを重ね、76年には「きみ可愛いね」でNHK紅白歌合戦に出場。現在はコンサートを中心に活躍。最新アルバム「それいゆ」発売中。

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