(27)「サ高住」見学の約束を取り付けるだけで疲労困憊
それは老健に入所して1カ月ほど経ったある日に実行した。兄とふたりで訪ね、「おかんは今後、どうしたい?」とできるだけ優しく確認すると、やっぱり自宅に戻ることしか頭になかった。
体力やバランスが心配、再びケガする可能性も高いと話をしても、「もう何でもできるようになった。トイレだってひとりで行ける」。相変わらずのおかん節が続いた。おかんにとって自宅以外は自由を奪われる場所。回復期も老健もサ高住も有料老人ホームも特養も、すべて「老人を押し込める施設」との思いが根強いことが伝わってきた。
「そうじゃないよ。とくにサ高住というのはね……」
時間をかけて解説していく、の繰り返し。かくして約2時間、兄とふたりがかりの説得に根負けしたのか、「納得したわけじゃないよ。見るだけだよ」。
見学に行く同意を取り付けた頃には疲労困憊。頭がフラフラになっていた。



















