24時間首を絞められている感覚が…天才ナカムラスペシャルさん下咽頭がんを語る
3度の再発…いずれも手術で摘出
2020年12月、12時間の大手術となりました。声帯を残して喉を取り除き、腸で喉を再建したのです。
ICU(集中治療室)に1週間いて、一般病棟に戻ってきても、しばらくは点滴につながれて完全な絶飲食でした。空腹は我慢できても喉の渇きは我慢できなくて、大晦日の夜、こっそり自販機へ向かいました。でも何を思ったか炭酸ドリンクを買ってしまい、一口飲んだ途端に呼吸器が刺さっていた喉の穴から噴き出して大慌て。それも今となればいい思い出です(笑)。
2021年1月に退院しましたが、4月に再発が見つかり手術。同じ年の10月には再々発が見つかり、また手術しました。さらに2024年10月に3度目の再発が見つかり、再び手術。いずれも早い段階で摘出しているので、大きな心配はしていません。
2カ月に1回通院して、定期的にMRIとCTと胃カメラの検査をしています。同じ病院で長くお世話になっているので、もう勝手知ったる実家のようです。入院も手術も胃カメラすらも嫌じゃなくなりました。
3回目の手術の後、昔からお世話になっているコント赤信号の小宮孝泰さんから「2人でがんをテーマにしたトークショーをやろう」と提案され、入院中の面白エピソードを話すショーをやりました。それがきっかけでまた舞台に立ちたいと思うようになりました。
失うはずの声が残ったのは、「もっとしゃべれ」と神様が言っているのだと感じて、そこから朗読劇を始めました。次回で12回目を数えます。いいリハビリになっていることはもちろん、生きるモチベーションになっています。
もし、嫁さんがいたら、嫁さんに頼ってセカンドオピニオンで全摘を決めていたかもしれません。出ていかれたときはショックでしたが、サードオピニオンを受けたのは嫁さんがいなかったから。不幸な出来事も必然だったのでしょう。悪いことがあっても良いことが起こる前兆かもしれない。そう思うようになりました。
(聞き手=松永詠美子)
▽天才ナカムラスペシャル(てんさい・なかむらすぺしゃる) 1968年、東京都出身。大学在学中から演劇に携わり、劇団を経てフリーとなる。多方面の劇団やプロデュース公演に参加。99年から現在の名前に改名し、アート活動を始める。2002年ごろから役者を再開し、病気を経て22年から朗読ユニット「犬儒派リーディングアクト」を主宰。8月21~24日「アトリエ三軒茶屋」(東京)で、12回目となる定期公演が行われる。
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