消えゆく書店 ネット時代に求められる“攻め”の生き残り術
街から書店が消えている。深刻な状況に政治家も立ち上がった。今月9日、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(発起人代表・河村建夫元官房長官)が設立された。 東京商工リサーチによると、昨年倒産した書店は25件と、前年比1.5倍に急増。休廃業・解散も41件ある。ネットで情報を入手する人が増え、出版物自体が減っていることに加え、本のネット通販が普及。書店にとっての市場環境は最悪だ。
全国の書店数はジリ貧で、99年には約2万3000店あったが、15年は1万3500店と4割減。さらに驚くことに、書店が一店もない市町村が全国で332もある(日本書籍出版協会資料=15年5月時点)。市町村の数は全国約1700だから、2割近くが書店不在というわけだ。このままでは、書店が消える街は右肩上がりで増える可能性がある。
9日の議員連盟による懇親会では、主要因を分析し、課題を挙げている。例えば、新刊の発売開始日。ネット通販では開始日当日に読者に届けられるが、実店舗の書店は取次の関係でそれができない。また、書籍は再販制度により定価販売が原則だが、ネット販売ではポイント還元などで実質値下げがされている――などだ。議員連盟の関係者は「課題についてはいろんな角度から検討していきたい」としているが、減少傾向に歯止めはかかるのか。