禁欲的で官能を否定する文化を変えたベートーベンの功績
財務次官がセクハラで辞任した一件で、官僚や政治家の感度の鈍さが浮き彫りになった。被害女性を「ある意味で犯罪」と批判した下村博文元文科相をはじめ、自民党の議員からは耳を疑う発言が出ている。古い感覚を引きずったままでいるから、周囲とズレてしまっているんだろう。新しいものに対する理解が乏しいんだ。ある意味、保守的なんだよ。
欧米は違う。だれもが新しいものを好み、求めている。これは音楽の歴史を振り返っても明らかだ。
もともと音楽ってすごく科学的で、「ド」の音が鳴る1本の弦を半分にすると1オクターブ上の「ド」になり、3分の1にすると「ソ」になる。これに気づいたのが数学者のピタゴラスで、音階は彼が見つけたんだ。
ただし、神学者で哲学者のアウグスティヌスは、「音楽の官能性は謎であり病であり罪である」とした。「歌われている内容よりは、歌声によって心が洗われてしまうときは、私は罪人として罰を受けなければならない」とも言っている。キリスト教は禁欲的で官能を否定する文化だから、音楽でも感動しちゃいけなかったんだよ。