「GAMIN」グループ社長・木下威征さんの巻<5>

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ラグレアーブル エスプリ ド ギャマン(東京・門前仲町)

 この店は「ギャマン」がついている通り、僕がのれん分けした店です。読者の皆さんは、なんだ仲間の店かと思われるかもしれませんが、オーナーシェフの佐山(典義)クンは、とにかく芯のある男。門下生であるかどうかは抜きに、応援したい店なので、取り上げました。

「10年、木下さんのもとを動かず、すべてを学びたいので弟子にしてください」

 母校の辻調理師専門学校で講師をやっていたとき、彼は弟子入りを志願してきました。当時の僕は、雇われで店を任されていて、その店の味や僕の考え方などを知り尽くした上でのことです。

 飲食業界は、彼のように1つの店で徹底的に腕を磨くのもひとつ。2、3年で店を移りながら技術を習得するのもひとつ。どちらも間違いではありません。彼は有言実行で10年間、僕のもとにいて、節目の年を迎えたとき、尋ねました。10年だぞ、どうするんだ、と。するとハッキリとこう答えたんです。

「あと5年修業させてください」

 僕のところにいれば安心でしょうが、そういう保身ではなく、さらに5年頑張って技術を磨くという意気込みが強かった。さらに5年頑張って、昨年1月にオープンしたのがこの店です。

 僕も時々顔を出します。彼の料理を口にすると、一緒に厨房に立っていたころを思い出すと同時に、彼の進化も感じられて励みになる。

彼の良さは塩味と酸味のバランスの良さ

 先月の1品目は、「カシューナッツのムースとホタテのマリネ」です。ソースはアメリケーヌソースでフレンチの定番、ギャマンでも人気です。エビのウマ味がしっかりと引き出されていて、ナッツの香りにマッチします。

 実は、彼の良さは塩味と酸味のバランスの良さだと思っています。その点でいうと、「水ナスとズワイガニの冷製」や「アユのコンフィ」などはその良さが生きる。

「水ナスは大好きで、この時季はよく取り入れます」というように、大葉のジェノバソースは、タマネギやニンニクなどで複雑さを出し、ほぐしたズワイガニの身がウマ味をプラスしています。アユは、新生姜の酸味がコンフィの香りを引き立てるのです。どちらも、やっぱり酸味と塩味のバランスがいい。

6000円のコースを締めるパスタは何と…

 コースを締めるパスタは、イベリコ豚の赤ワインラグーで、何と、白ゴマの担々風。しっかりとしたラグーでありながら、唐辛子とゴマの余韻で担々風の後味に。だからといって、決して中華ではなく、フレンチのパスタに仕上がっています。皆さん、驚かれるでしょうが、この遊び心も彼の良さ。

 コースは月替わりで6000円。ここにご紹介したメニューは7月のもので、8月にはありませんが、きっと新発見に出合えるはずです。佐山ワールドを楽しんでください。

(取材協力・キイストン)

■ラグレアーブル エスプリ ド ギャマン
東京都江東区門前仲町1―2―5 2階
℡03・6458・8696

▽GAMINグループ エビス本店のギャマンは13年目に突入。気軽に食事ができる「トラットリア」や「深夜食堂はなれ」など東京の飲食店4店舗、パンやスイーツを扱う店舗に加え、沖縄・宮古島に5組限定のプライベートヴィラ「グランブルーギャマン」もオープン。

▽きのした・たけまさ 1972年生まれ。辻調理師専門学校を首席で卒業し、渡仏。3ツ星レストランで腕を磨いて帰国すると、「AUX BACCHANALES」「モレスク」などを経て、2008年に「AU GAMIN DE TOKIO」を開店。T.K-BLOCKS社長。

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