3.3坪のイタリアンがコロナ禍でも明かりを灯し続けた理由
ビルの壁にへばりつくようにポツンと一軒、笑っちゃうほど小さな店が立っている。裸電球の明かりが夜の歩道にこぼれ、入り口には「Ribes」の横文字の暖簾。わずか3・3坪、カウンター7席のみ。それでも、本格的なフルコースも提供するれっきとしたイタリアンレストラン&バーである。
カウンターに座ると、いきなり店主の梅沢英和さん(63)の顔が目の前にある。奥行き1・5メートル弱の極セマな店内。
その中央を幅約35センチのカウンターが貫き、このカウンターの幅が店主と客を仕切るソーシャルディスタンスとなる。もちろんフェースシールドをぶら下げたり、マメな換気をしたりと、感染対策は欠かさない。
「私の夢はね、見知らぬ人同士が集って、料理と酒を小道具にしてコミュニケーションの輪が広がるような『場』をつくること。そのためには、この小ささ、この狭さがピッタリなんです」と梅沢さん。
主役は客であり、料理や酒は客が語らうための小道具に過ぎない。
といっても、その小道具は絶妙で味わい豊かと評判だ。