(63)外国人のホテル待機 指定国を設ける政策で政府は「利権」を割り振った
3月中旬、帰省先のベトナムから日本へ戻ったグエンさん(29)は、夫と1歳になる子どもと一緒に都内のホテルで3日間“待機”することになった。宿泊費はかからず、PCR検査も無料で済むことから、自宅へ戻らずホテルを選んだのだ。その際、最も苦労したのが、子どもの食事だったという。
「ベトナムに帰国して隔離された時は、ホテルにお金を払えば、小さい子ども向けの食事も用意してくれました。でも、今回は大人のお弁当しか出せないと言われて……」
ホテルでは、イスラム教徒向けのハラルフードなどは用意されていた。ベトナム人と同様、待機対象となっていたインドネシア人らを意識してのことだろう。この頃、インドネシアから来日する実習生も多かった。ホテル側が見込んでいたのは実習生や留学生の“待機”であって、乳幼児は想定外だったようだ。
グエンさんが3日間を過ごしたホテルは有名チェーンのひとつだが、待機施設となった棟の運営は外部業者に委託されていた。こうした外注では問題も指摘されている。
「読売新聞」3月12日電子版は、大阪府のコロナ感染者の療養先となったホテルで外部業者に弁当を発注する際、府が支給した1人当たり1日2700円の弁当代の“中抜き”が横行していたことを報じている。41施設中19施設で、最大700円が“中抜き”されていたという。