「被害者救済法案」に高いハードル…献金「上限規制」「取り消し権」は旧統一教会の想定内
今国会の最大の焦点となっている旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる「被害者救済法案」。18日、政府は与野党に概要を提示する。献金の「上限規制」と「家族ら第三者による取り消し権」についても盛り込む意向だ。一見、前進したように見えるが、適用するためのハードルが高く、全面的な被害者救済にはつながらない恐れがある。
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政府が想定している「上限規制」は、宗教団体が借金をさせたり、土地・建物を売らせてまで献金を要求する行為を禁止するというもの。「取り消し権」は、信者の家族が多額の献金をしたために、生活に困窮した子どもや配偶者が本人に代わって献金を取り消せるようにする。本来、得られるはずの「生活費」を受け取る権利があり、民法の「債権者代位権」に基づくものだ。
「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)事務局長の川井康雄弁護士は「これまでの議論や法制度からすると大きな一歩だと思います」と、一定の評価をした上で「報道されている内容を拝見すると、(救済に至るまでは)高めのハードルになっているとの印象です。さらなる救済に向けた法整備を期待したい」と言う。
実際、借金や不動産を売るほどの献金でなければ適用されない、生活に困窮しなければ本人に代わって取り消せない──。となると、かなり高いハードルである。ほとんどの被害者は、救済されず、教団もさして打撃を受けない可能性がある。