能登半島地震から8カ月…現地を歩いてわかった輪島市の今と、今後の大地震に備えられること

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 9月1日に防災の日、そして能登半島地震から8カ月を迎えた。今回、能登半島地震の復興の現状を振り返りながら、今後近い将来に発生が懸念される南海トラフ地震や首都直下地震のリスクに備え考えたい。

  ◇  ◇  ◇

「地震に襲われた能登半島の復興は遅れている」--。新聞、テレビ、ネットなどのメディアなどでよく聞かれる言葉だ。特に甚大な被害がもたらされた半島の先端部“奥能登地域”の珠洲市や輪島市は、まだまだ街中に瓦礫の山が残り、珠洲市の200世帯以上でいまだ断水が続く。

 筆者が輪島市に訪れた8月23日は快晴、気温は日中35度まで上がった。日本海側独自のフェーン現象による熱風の影響で、体感温度はさらに高く感じる。この酷暑で水道が整備されていない暮らしがいかに厳しいか、想像するだけでも苦しい……。

 しかしなぜ復興がこんなに遅れているのか。まず挙げられるのは地形的な問題。能登半島の奥能登地区にアクセスするには、公費解体を行い、瓦礫や土砂を撤去する業者が車で奥能登までたどり着くには、のと里山街道という高速道や、一般道を使う。しかし地震で道路がボコボコに陥没し、海際の道は土砂で寸断されてしまった。もともと、県庁所在地の金沢市から車で2時間半以上もかかるアクセスの悪さから、奥能登は「さいはての地」というニックネームがつくほど。地震発生からしばらくの間、業者が現地まで簡単にたどり着けなかったし、現地入りできたとしても業者が宿泊する施設が地元に圧倒的に足りない。折しも「最近は労働時間の規制が厳しいので、突貫工事ができない。1日の拘束時間が決まっているのに、遠くの宿泊先への行き帰りを考えると作業時間が短くなってしまう」(輪島市担当者)。

 2011年の東日本大震災の方が被害は格段に大きかったが、首都圏からの業者やボランティアが被災地に入りやすく、瓦礫の撤去や水道の復旧も比較的早かった。労働時間の縛りも今ほど厳しくなかった。「復興を推進する自治体職員の能力が低すぎる。もっと有能なプレイヤーをよそから連れてくるべき。しかし閉鎖的なこの地域では、新しい血を入れるのに抵抗があるようだ」(珠洲市内自営業者)という声も。

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