「そんなことで別居します?」家事を“雑用”扱いする夫、 妻の家出に呆然とするズレた思考回路
妻の勝手さにウンザリ
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「我が妻ながら、ずいぶんと勝手な言い分だなっていうのが正直なところです。言いたいことはわかりますけど、そんなことで別居なんてします?
俺が浮気したわけでもなければ、DVやモラハラをしたわけでもありません。単に家事の負担が気に入らないから…って、何も言わずに娘を連れて出て行くなんて。
自分勝手な妻だなぁ、ワガママな女だなぁ、っていう感想しかないですね」
現在は、妻と娘が出て行ってしまった自宅でひとりで暮らしているタカノリさん。家のローンを支払うたびに「複雑な心境になる」とこぼします。
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「このまま離婚って流れにはならないだろうと踏んでいるので、とりあえず家は維持していますけどね、ローンを支払うたびにバカバカしくもなります。
妻も娘もいないから、使わない空間に無駄金を払っているのと同じじゃないですか。
まぁ、帰ってくると思うので、このまま払いますけど。気分よくローンを払えるように、早く自宅に戻ってきてもらいたいですよ」
妻から別居解消の条件に提示されているのは、“名もなき家事の分担制”。しかしタカノリさんは、これを受け入れることに疑問を抱いています。
ルールにしなきゃダメ?
「妻はギャーギャーと感情的に主張してくるんですけど、これってわざわざ家庭のルールにするほどの内容ですかね?
これまでも雑用は気づいた人がやるっていうスタンスでやってきたんですけど、それじゃあなぜダメなのかが、よくわかりません。
確かに妻は俺よりも家の雑用を、よくやってくれていましたよ。だけど、それってたまたま妻のほうが、よく気が回るというだけでしょ。
それに夫婦で生活するのに、なんでもかんでも数量的に折半! なんてできないでしょ?」
「気づいたほうがやる」でいいいじゃん!
大きな家事はちゃんと分担ルールに基づいてお互いがやっているとタカノリさんは主張します。
「小さな雑用は気づいたほうがやる、くらいの幅があっていいと思うんですよね。そんなところまでルールにしたら、俺は窮屈で家にいるのがしんどくなりそう。
家のローンも車のローンも俺の収入で払っているんだし、共働きと言っても俺のほうが金銭的な負担は大きいんです。
だから、自分が不満に思うところだけなんでも“平等”や“折半”で片付けようとする妻の姿勢には、納得できないですね」
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)