恨み続けるか、憎しみを手放せるか…「ゆるせない人リスト」を作って見えてくること【前編】

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あなたが「ゆるせない」と思っている人

 あの人は絶対ゆるせない。そんな思いを抱いたことはないでしょうか。この「ゆるせない」という考えや思いが、インターネットの発達、SNSが普及した現代においては増幅、増長されていると感じる人も少なくないでしょう。

 スタンフォード大学医学部卒の精神医学者ジェラルド・G・ジャンポルスキー(2020年没)は「人をゆるすことはあらゆる問題の解決策で、あらゆる苦しみの処方箋だ」と言います。どうすればゆるせるのか? ゆるすとどうなるのか? 著書『新版 ゆるすということ』より一部を抜粋して前後編でお届けします。

  ◇  ◇  ◇

「ゆるす」ということを考える前に、まずノートを用意して、最初のページに、ゆるせない人の名前を書いてみましょう。リストには、気が引けても絶対にゆるせない人の名前も入れてください。

 誰をリストに入れるかについては、以下にあげるいくつかのパターンが参考になるでしょう。

・両親、義理の両親、家族、親戚

 人は誰でも、ほしいものや必要なものを親から充分もらっていないと感じながら、成長するものです。妻のダイアンと私は講演するとき、会場に来ている人に、

「親を完全にゆるしている人は手をあげてください」とよく尋ねます。ほとんどの場合、半分以上の人は手をあげません。

 感情的、精神的、肉体的、性的な虐待を親から受け、ひどく傷ついて、絶対に癒いやせないと思っている人もいます。また、恵まれた家庭で愛されて育ったにもかかわらず、心の傷をかかえている人もいます。

■別れた配偶者をゆるしている人は4分の1以下

 子ども時代の出来事をゆるせないと感じていても、どうしたらいいか途方にくれているとしても、漠然と悩むのは一休みして、この項目に当てはまる人の名前を書き出してみましょう。

・配偶者、別れた配偶者、昔の恋人

 私たちは世界中でワークショップをしていますが、離婚経験者に手をあげてもらうことがあります。そして、手をあげた人に、別れた夫や妻を完全にゆるしているかどうか尋ねます。

 ゆるしていると答える人は、4分の1以下です。つまり、75パーセント以上の人は別れた配偶者をゆるしていないのです。別れた配偶者をゆるしがたいのは、当たり前です。一度は心をゆるし、信頼しあっていた相手です。裏切られたという思い、心の痛みや傷は、非常に大きいかもしれません。

 ゆるすべきでもないし絶対にゆるせないと思っていても、名前を書いてみましょう。

◼️絶対にゆるされるべきでないと思っても

・権威がある人

 人はみな、信頼していた人に裏切られたり、傷つけられたり、噓をつかれたり、失望させられたり、虐待されたりした体験があります。教師、宗教指導者、養父母、専門家、役人、政治家、取引先、高級な店の店員など。

 たとえば、政府の指導者はときとして人類に対し、まったくゆるしがたいことをしでかします。第二次世界大戦や、ナチスによるユダヤ人の大虐殺がそうです。

 また、専門家の支援を求めてお金も払ったのに屈辱感を味わわされたり、傷つけられたりする場合もあります。人助けが本分なのにそんなしうちをするなんて、ゆるせないと感じるかもしれません。

 絶対にゆるされるべきでないと思ってもそういう人たちの名前を書いてみましょう。

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