「イネカネムシ」大量発生のナゼ…絶滅寸前から一転、今年も増加傾向でコメの安定生産に黄信号
水田の環境が変化
なぜ、イネカメムシの発生量が増えているのか。農水省の植物防疫課に聞いてみた。
「近年の温暖化が影響しています。昆虫全般に言えることですが、カメムシは変温動物なので気温が高いほど活動が活発になり、繁殖のサイクルが短くなります。また、暖冬が増えたことで越冬数が増えたり、春や秋にも暖かい日が多くなり、活動できる期間が長くなっている。こうした条件が重なり、倍々ゲームで繁殖し発生数が増加しているのです」
最近では、飼料用や輸出用などコメの需要が多様化し、それぞれ作期の異なる品種が栽培されるようになったことも影響している。
「イネカメムシはその名の通り、イネが大好物。かつては台風などの被害を恐れて早く収穫する品種が多かったのですが、近年は作期が分散され、イネカメムシのエサが初夏から秋まで長期間にわたって水田に存在する状態になっています」(農水省植物防疫課)
水田をとりまく環境の変化が、イネカメムシの発生増加を許しているのだ。
今後は、カメムシ被害が毎年のように猛威を振るうことになるかもしれない。そうなれば、国内のコメの安定生産はますます遠ざかってしまうことになる。