さあ、秋のGⅠシーズン到来!負けても負けても競馬が楽しいのはなぜか
最後にこんなエピソードを紹介しておきたい。“予想の神様”といわれた大川慶次郎との思い出だ。東京競馬場、平場レース、7頭立て。人気が一番ないのが休養明けで30キロ増えている6歳馬だった。私はそこから流して買っていた。大川はそれを見て「フン」と鼻で笑った。
太った馬は4コーナーまでどん尻だったが、直線で猛然と追い込んで勝ってしまった。大川に「なんであの馬が勝ったのか」と聞いてみた。大川は「走ってるうちに痩せたんでしょ」と吐き捨てた。競馬なんてそんなもんだ。だから楽しいのだ。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)