「100年後のビールのために」 その一心でスイングカランの錫管サーバーを復刻させた情熱
スイングカランは国内唯一のメーカーに依頼できたが、肝心の錫管が困難を極めた。広島の名店からかつて使用していたものを譲り受けたが、現在の設計に合わせるとうまくいかずに断念。夢が途絶えかけたところに現れたのが、焼酎の蒸留用に錫蛇管の製造を手掛ける鹿児島の職人だった。錫管ができるまで、伝説の注ぎ手といわれる名人にスイングカランで注ぐ技術指導を受けた。そしてついに錫管が完成。ビールが流れる錫管やグラスを冷やすシンクの周りは、0度の冷水が循環する。その冷却システムも自前だ。
スイングカランの錫管サーバーでいただいた一杯は見た目に透き通っていて輝かしい。手に触れたグラスはほどよい冷たさで、口に運ぶと優しい麦の香りとともにまろやかな味わいをのどに感じた。この一杯が850円とは驚きだ。
「ビールは薄利多売ですから」と笑うが、樽の管理も徹底する。室温12度で管理されたCAVE(洞穴の意で店名の由来に)で寝かせてから、2度の冷蔵庫へ。どちらも2、3日かけて落ち着かせて十分冷やした樽をサーバーにつなぐ。洞穴の冷却システムも自前だ。
「錫管でつぐビールがおいしい理由の一つは甘くフルーティーな香りを生み出す不思議な金属だからでしょう。でも、そんな錫を使用できるのは99.9%以上の高純度のもののみ。昭和のころと基準が変わり、人体によくない鉛の影響を防ぐためです。もちろん、検査機関の証明済みです」
「恩返ししたい」もう1つが、英国伝統のカスクコンディションエール(M1300円~)だ。
「国立ブルワリーなどで本場英国のスタイルのまま醸造したビールです。ベストな状態に仕上げるには12度で静かに寝かせることが重要で、これも洞穴で保管します。でも、カスクエールは英国でさえ激減していて、近い将来、ウチが最後の砦になりかねません。絶対に守り抜きたいんです」
店に飾ってあるものは、「ほとんどが英国で買ってきたアンティークです」と笑う。ビンテージは100年未満のもの、アンティークは100年以上のものを指す。「100年後のビールのために」とは、アンティークのように静かに受け継がれるビールのための環境づくりなのだ。
(住)神奈川県横浜市中区花咲町3-99 センチュリー紅葉坂1階
(℡)050-1205-9956
平日:午後3~11時
土日祝:午後1~11時
定休日:SNSで確認を
■関連記事
-
日本の皇族存続への危機と「愛子天皇待望論」 天皇が暖房なしで深夜まで4時間の儀式に臨む…11月23日「勤労感謝の日」に宮中で行われる新嘗祭とは
-
風を感じてビールをグビッ! 最高にうまい外飲みが楽しめる3軒 AMAYA(神奈川・真鶴)アワビ、伊勢エビ、本マグロ…海の目の前で海鮮BBQ
-
パブ&ビアバー 珠玉の一杯をじっくり味わう 「100年後のビールのために」 その一心でスイングカランの錫管サーバーを復刻させた情熱
-
鳥海高太朗が教えるお得な旅 少ないマイルを活用して国内旅行を ANA「今週のトクたびマイル」×JAL「どこかにマイル」徹底比較
-
もぎたて海外仰天ニュース 米ユタ州でフライドポテト満載のトレーラーが炎上! 地元保安官事務所がユーモアたっぷりに公表し笑い誘う
-
「くしろ湿原ノロッコ号」のラストラン撮影で線路脇の樹木伐採…“撮り鉄”の非常識行動はなぜ続く? 背景に特殊な“界隈ルール”
-
世界一の店も取材 ブルワリーで飲んで食べる東西4軒 「BEERNOVA URAWA」(埼玉・浦和)英国最上級モルトを使用したエールタイプが世界一
-
100歳まで元気! 先達100人の証言 髙嶋弘之さん92歳 補聴器をつけ、歩行器を駆使し、週5日、40分かけて事務所に通う


















