女性初のプロ棋士誕生 藤井聡太が投げかけていた「棋力の担保」という疑問…男女の実力差はなぜ生まれるのか
奨励会は、まるで男子校に女子が紛れ込んだかのような雰囲気
制度やルールだけを見れば、女性に不利な要素は少ないように感じられるが、それでも女性進出が進まない理由について、フリーの将棋ライターはこう語る。
「これまで棋士が全員男性だったので当たり前ですが、とにかく将棋界は圧倒的な男性社会です。昨年初めて将棋連盟の会長に女性が就任しましたが、組織のトップが女性になったからといって、棋士社会や奨励会の人間関係まで変わるわけではありません。
奨励会の対局風景を見ると、男だらけの中に女の子がポツンといて、まるで男子校に女子が紛れ込んだかのような雰囲気です。あれでは盤上以外の余計なプレッシャーを感じても仕方ないでしょう。奨励会にいる男子は将棋漬けの生活で、女子に免疫が無い子が多く、打ち解けるのは簡単ではありませんし、男子同士に芽生える仲間意識の輪にも入りにくい。元奨励会の男性は、『口には出さずとも、“女にだけは負けたくない”という共通認識があった』と、話していました」
ただ、少しずつではあるが、状況は変わってきている。
「ネット将棋が一般的になったことで、女性が将棋を指す環境は一気に整いました。将棋道場や将棋サロンは男性だらけで、女子がひとりで訪れるのはなかなかハードルが高かったですから。また、藤井フィーバー以来、“観る将棋”が増えて、イベントによっては来場者の半数以上が女性ということもあります。ファンが増えれば、競技人口の増加にもつながるでしょう。
ちなみに囲碁は、将棋より男女の差は小さいと見て良いでしょう。男女の混合棋戦で藤沢里菜や上野愛咲美ら女性棋士が優勝していますし、藤沢は七大棋戦でベスト8まで進出したこともあります。一方、チェスではハンガリーのユディット・ポルガーが女性棋士として歴史的な強さを誇り、世界ランキング8位にまで到達しました。いずれも男性優位なのは間違いありませんが、女性が結果を残したボードゲームの例は世界を見渡すといくつかあります」
藤井が投げかけた「棋力の担保」という疑問に答えるには、資格の基準をどうするかだけでなく、なぜ女性のトップ棋士が男性のトップ棋士に比べて少ないのかという問題にも向き合わなければならない。女性の参入を促すことと、棋士としての実力を適切に評価すること。その両立が、将棋界に問われている。
◇ ◇ ◇
将棋については、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などでも詳しく報じている。


















