日本製鉄が仕掛けた東京製綱への“懲罰的TOB” その思惑は?
「敵対的TOB(株式公開買い付け)ならぬ懲罰的TOBでは……」
鉄鋼業界関係者らの間では、こんな声も飛び交う。
日本製鉄がワイヤロープ国内最大手、東京製綱に対するTOBに踏み切った。「ガバナンス体制が機能不全に陥るなど経営上の問題を抱えているにもかかわらず有効な対応策を講じず、継続して業績が悪化している」というのが理由。母材供給メーカーとして経営への関与を強めて、業績改善を支援するとしている。
TOB開始は東京製綱経営陣に事前に「何らの連絡もなく、一方的かつ突然行われた」もので、同社側は強く反発。「内容を精査して速やかに見解を公表する」としながらも株主らに「慎重な行動」を求めている。
TOBは3月8日まで実施する。買い付け価格は1株1500円で、直前1月20日の東京製綱株の終値に36・49%のプレミアムを乗せた。