著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

稲葉NHKに喧嘩を売った…前会長の前田晃伸氏はみずほFG出身の「無類の硬骨漢」

公開日: 更新日:

■前代未聞の聴取

 前田氏が「冤罪デッチ上げ」と指摘した事件は、衛星放送番組のインターネット配信の整備費約9億円の支出について、22年12月に前田氏や理事ら計9人が承認した稟議プロセスが不透明だというもの。稲葉会長はその解明のため4月の理事会で特命監査を指示。稟議に関わった前田氏や理事らを5月上旬にかけて聴取した。特命監査での会長経験者の聴取は前代未聞だった。

「この特命監査での遺恨が今回の前田氏の異例の意見書につながっていることは確かだ。前田氏はみずほ時代から超がつく堅物で有名だった。ストイックで、人一倍プライドが高い。特命監査で不正を問われたことに我慢がならなかったのだろう」(メガバンク幹部)という。

 前田氏をよく知る財界関係者も、「前田氏はみずほフィナンシャルグループ(FG)の社長・会長時代から誰よりも先に出社し、真冬でも暖房を入れず、ダウンを着込んで我慢するほどの硬骨漢だ」と指摘する。

 前田氏の故郷は福沢諭吉ゆかりの大分県中津市。地元の進学校・中津南高校を経て、東大法学部に進学し、みずほFGの前身のひとつ富士銀行に入行した。「みずほ誕生を主導した山本恵朗頭取に可愛がられ、みずほFGのトップに上り詰めた」(みずほ関係者)とされる。実父は弁護士で、「前田氏はみずほFGの社長・会長の後、国家公安委員に就いたことに、これで親孝行ができたと喜んでいた」(同)という。

 その前田氏に、こともあろうか法的責任を突き付けた稲葉会長の行動は、終生許すことはできないということだろう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  2. 2

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 3

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  1. 6

    「まつもtoなかい」長渕剛"神回"が話題に…「仕事と愛どっち取る?」の恋愛トーク!

  2. 7

    生島ヒロシ降板騒動は起こるべくして起きた!コンプラ違反が当たり前…大物司会者のヤバイ言動の数々

  3. 8

    ソフトバンク上沢直之への“取材NG”で雑音封印の配慮…昨季の山川穂高と同様、個別取材すべて却下

  4. 9

    香取慎吾は「三重苦」を克服できるか? 主演ドラマ不発の原因は「不肖の兄」「反フジテレビ」と…

  5. 10

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”