著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

サイゼリヤ株主優待廃止で株価急落…「理系経営」で個人株主の反発をかわせるか

公開日: 更新日:

 7月11日の東京株式市場で、低価格イタリアンチェーン店を展開するサイゼリヤの株価が急落した。10日の15時に株主優待を廃止と増配を同時に発表したことで失望売りが出たもので、株価は一時9%超安い5250円まで下げた。

 サイゼリヤの株主優待は、毎年8月末時点の株主を対象に実施されており、従来の内容は「100株以上を1年以上保有する株主に自社レストランでの『食事券』2000円分を贈呈。500株以上を保有する株主に『食事券』1万円分を贈呈。1000株以上を保有する株主に『食事券』2万円分を贈呈」という内容だった。

 しかし、この株主優待はすでに実施済みの2023年8月末分をもって「廃止」となる。

 廃止する理由についてサイゼリヤは、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、慎重に協議した結果、配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました」と説明している。

 一方、増配については、24年8月期の配当予想を従来の18円から25円に引き上げると発表した。

 サイゼリヤの説明を額面通りに受け取れば、株主優待での還元を増配に切り替えただけで、株主の利益は変わらないとの印象を受ける。しかし、実際は、株主優待の廃止が発表された10日の終値で計算すると、株主優待利回りは100株保有する株主では「0.34%」に相当する。これに対して増配では、配当利回りが「0.12%」増えるだけ。食事券を楽しみにしていた少額保有の個人株主にとっては改悪としか言いようがない決定だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景