「対米投資80兆円」にくすぶるトランプ政権の罠…関税合意に正式署名も波乱含み
主導権はガッチリ握られ…
大統領令の署名と同時に、日米両政府は米国の求めに応じて2つの文書を作成した。ひとつは、7月の関税合意のコミットメントを再確認する共同声明。もうひとつが、対米投資に関する共通理解を確認する了解文書(MOU)だ。
赤沢大臣は文書署名後、カウンターパートのラトニック商務長官と固い握手を交わし、あふれんばかりの笑顔で抱擁。しかし、MOUの内容は、
①トランプが投資先を選定
②日本側が資金を出さない場合、米国は相互関税や自動車関税を再び上げることが可能
③元本返済まで利益は日米が50:50で分け合う
④返済終了後の利益は米国側が9割を受け取る
──と、日本にとって不利な条件が並ぶ。
一応、投資先の選定にあたっては、米側のみの投資委員会が検討した後、日米で構成する協議委員会で議論し、トランプに投資先を推薦する流れになっている。
日本も一枚かめるとはいえ、主導権は関税の再引き上げをチラつかせる米側にガッチリ握られている。
「法的拘束力がないので、きちんと利益分配されるのかも分からないし、そもそも元を取れる利益が上がるかも不透明。しかし、カネを出さない選択は許されない。関税を人質に取った恐喝で80兆円をむしり取られたようなものです」(斎藤満氏)
結局、「トランプの腹ひとつ」の不平等な状況に変わりない。全集中できていないゾ!
◇ ◇ ◇
トランプの歯ぎしりが聞こえてきそうだ。3日、北京で開かれた「「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」の式典に、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記が初めて一堂に会した。関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。