<7>4特別区再編「住民に近い基礎自治体」は数字のマジック
いわゆる大阪都構想をめぐり、推進派は「住民に近い基礎自治体」をメリットのひとつに挙げるが、それもいかがわしい。都構想が実現すれば、大阪市は廃止され、4つの特別区に再編される。そこで、推進派はこう主張する。人口270万人規模の大阪市の市長よりも、4分割されて60万人規模となる特別区の区長の方が地域のニーズに合った政策が可能になる。地域の安全対策や子育て支援など、区民の要望を区長が拾い上げて住民サービスに生かせる――。
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だが、これは単なる数字のマジックでしかない。「地球から冥王星までの距離は48億キロ。土星までは15億キロ。土星のほうが近いので行きやすい」と言っているようなもので、どちらも人類が遠征するのは困難だ。特別区の人口は政令指定都市並みの規模であり、区長1人が区民全員の声を聴くことなど不可能だろう。