石破首相が言及「衆参W選挙」は無理筋…自民は深刻な“金欠”、身内からも「やめてくれ」の声

公開日: 更新日:

政策活動費や裏金にはもう頼れない

 過去、ダブル選は1980年の大平正芳政権下、86年の中曽根康弘政権下の2回しか実施されていない。直近の例から40年近くも経過しているわけだが、石破首相は本気でやるのか。「あり得ないでしょう」とは自民党の事情に詳しい政界関係者だ。こう続ける。

「ダブル選を実施する上での最大の問題は、カネがかかり過ぎることです。衆院選で候補1人当たりにかかる経費は数千万円。参院選は選挙区が広いため、さらにかさみます。それを同時に行うほどの余力は今の自民党にありません。何しろ裏金事件以来、カネを集めづらい。パーティーを開けば後ろ指をさされ、使途報告義務がない政策活動費は来年から全面廃止。今年の選挙に政活費を使おうものなら猛批判にさらされる。自民党内からも『ダブル選は絶対にやめてほしい』という悲鳴が上がっています」

 パー券販売ノルマ超過分のキックバックを不記載にした旧安倍派では、参院選の年には“特例”が設けられていた。改選を迎える参院議員の販売ノルマを免除。売り切った全額をキックバックしていたのだ。

 それだけ選挙にカネがかかる証拠で、同派の大野泰正参院議員は5年間で5100万円、橋本聖子議員は同2057万円、昨年、参院から衆院に鞍替えした世耕弘成議員は1542万円――と多額の裏金が発覚。もはや、裏金にも頼れない。深刻な金欠に陥り、とてもじゃないがダブル選など無理というわけだ。

「そもそも、参院選が実施される夏までに自民党の支持率が上がる要素は見当たりません。そんな状況でダブル選を仕掛けても勝てる見込みはない。そこまでのリスクをとれるとは思えない。総理がダブル選に言及するのは、野党への単なるブラフでしょう」(同前)

 野党は慌てずに参院選の共闘態勢構築に集中すべきだ。

  ◇  ◇  ◇

 24日召集の通常国会の最大のテーマは依然として裏金問題。野党は巨額の裏金づくりに手を染めた旧安倍派の“金庫番”の国会招致を求めているが、石破首相の“覚悟”は――。●関連記事『【もっと読む】石破首相が“安倍派切り”に打って出るのか…裏金問題は年明け国会も継続、「金庫番」招致で与野党攻防』で詳報している。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  2. 2

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  3. 3

    【独自!】国民民主党にまた不祥事…63歳“激ヤバ”新人都議がコンサル報酬「不払い」でトンズラ

  4. 4

    選管議論で総裁選前倒しでも「石破おろし」ならず? 自民党内に漂い始めた“厭戦ムード”の謎解き

  5. 5

    国民民主党・玉木代表が維新にイチャモン連発! 執拗な“口撃”は焦りの裏返しなのか?

  1. 6

    やっぱり破綻した備蓄米制度…販売期限延長でも消えない「売れ残りリスク」

  2. 7

    “陰の首相”が見せつけた手練手管のバランス感覚…自民党総裁選前倒し議論、選管メンバー構成の妙

  3. 8

    参政党・梅村みずほ議員の“怖すぎる”言論弾圧…「西麻布の母」名乗るX匿名アカに訴訟チラつかせ口封じ

  4. 9

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  5. 10

    「石破続投」濃厚で党内政局は形勢逆転…そしてこれから始まる“逆襲劇”

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  2. 2

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  3. 3

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  4. 4

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  5. 5

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  1. 6

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 7

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 8

    福山雅治“ローション風呂”のパワーワード炸裂で主演映画とCMへの影響も…日本生命、ソフトBはどう動く?

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 10

    国民民主党・玉木代表が維新にイチャモン連発! 執拗な“口撃”は焦りの裏返しなのか?