元自民党・大野泰正氏は「脱税」に問われないのか…約5100万円の裏金づくり初公判で無罪主張
■元秘書も無罪を主張
在宅起訴された大野氏はやつれた様子もなく、濃紺のスーツにストライプのネクタイ姿で出廷。起訴内容の認否では「私のレベルでは今回の問題の原点となった派閥のことは分かりません。報道されるまで収支報告書に記載があるのかないのかさえ知りませんでした」と釈明し、「(元秘書との)虚偽記載の共謀は一切ない。政治的、道義的責任はあるが、犯罪は犯したことがない」と訴えた。当選2回。岐阜県議上がりの世襲議員にしてはおぼこい弁明だ。元秘書も無罪を主張した。
政治資金は課税対象外だが、キックバックは別物だ。使途を限定せずに受け取ったカネなのだから個人所得とみなされ、税務申告しなければ所得税法違反のはずだ。
「裏金事件は虚偽記載だけでなく、脱税も問われるべき事案です。議員にわたった裏金は全額が雑所得にあたり、所得税と住民税を課されるべきもの。会計責任者におっかぶせ、政治家が知らぬ存ぜぬなんていうのも筋違い。『法的実質』で見なければいけない。企業が法人税法違反に問われれば、経理部門トップだけでなく、管理責任を負う社長も罪に問われる。裏金事件も同じです」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)