滝川二高・山本真史監督が語る「高校生気質」と「指導方針」
――不祥事後のミーティングでは本を読ませて感想を言い合わせたそうですね。それも関係あるのですか?
「ありますよ。……そうですね、今の子は本音をなかなか言わないんです。『こう言えば監督も喜ぶだろう』という奇麗事が多い。でも、それは本当に本音か? 私は彼らに本音を出させたかった。例えば国語の試験で『この時の彼の心境を答えよ』なんて問題があります。しかし、解答といわれるものは本当に作者の意図に沿うものかわからない。誰か作者に聞いてきたのか? ということです。そこでおのおのが答えを出して発表し合う。『自分はこう思う』『いや、そうじゃない』と言い合い、意見を擦り合わせる。そうやって出た答えは大概、その場にいる皆が納得する。読書は考えさせること、本音を出すための下地作りです」
――効果はありましたか?
「不祥事後に私のやり方に慣れてくると、練習への取り組みが変わってきました。練習中も私に本音をぶつけてくる選手が増えた。本音を支持されたら誰だってうれしいし、自信につながる。否定されたら考えるきっかけになる。今は部員個々が考えながら練習をしている。ウチの練習時間は放課後に3時間くらいですが、居残りをする者もいれば、『今日はここまででいい』と判断して、躊躇せず帰宅する子もいます。そういえば、こんなこともありましたよ」