照ノ富士に土で優勝争い混沌 横綱・鶴竜が虎視眈々賜杯狙う
自身への怒りか敗戦の恥ずかしさか、照ノ富士の顔は真っ赤に紅潮していた。
相手はこれまで負けなしの5勝とカモにしてきた栃煌山。そこに油断があった。強引な小手投げで隙をつくってしまうと、懐にもぐられて寄り切られた。今場所初黒星。2敗力士、3敗力士ともに2人ずつおり、賜杯の行方はいよいよ混沌としてきた。
ここまで9月場所の主役は照ノ富士だった。初日から圧倒的な強さで11連勝。負けた瞬間は結びの一番でもないのに座布団が数枚飛ぶなど、誰もが優勝を信じて疑わなかった。
しかし、残り3日間となった9月場所のカギを握るのは照ノ富士ではない。この一番を土俵下で静かに見ていた横綱鶴竜(30)だ。琴奨菊との接戦を制し、10勝2敗。優勝の可能性は十分にある。
角界OBは「今場所がどう転ぶかは鶴竜次第」と言う。
「鶴竜が照ノ富士とぶつかるのは千秋楽。もし、その時点で2勝以上の差があれば優勝は不可能。モンゴルの後輩に花を持たせることが考えられる。ただし、1勝差ならその限りじゃない。勝って優勝決定戦に持ち込めるからね。照ノ富士は強いといっても、まだ安定感に欠ける面もある。こと技術に関しては、まだまだ鶴竜の方が一枚も二枚も上手だよ」