著者のコラム一覧
山田一仁フォトジャーナリスト

1957年1月1日生まれ。岐阜県出身。千葉大工学部画像工学科卒業後、文藝春秋社に入社。フリーランスとして五輪はロス、ソウル、バルセロナ、シドニー、カルガリ、リレハンメルなど取材。サッカーW杯は1990年イタリア大会から、ユーロは1996年英国大会から取材。89年のベルリンの壁、ルーマニア革命、91年ソ連クーデター、93年ロシア内紛、95年チェチェン紛争など現地取材。英プレミアリーグの撮影ライセンスを日本人フリーランスカメラマンとして唯一保有。Jリーグ岐阜のオフィシャルカメラマンを務めている。

自分だけが生き残ったSF映画の主人公のような気がした

公開日: 更新日:

 首相官邸の近くを撮影していると声をかけられた。振り向くと自動小銃を構え、防弾チョッキを着た武装警察官である。

「先ほどから写真を撮影しているようだが、あなたは旅行者ですか?」
「いいえ、プレスフォトグラファーです」
「それを証明するIDを見せてください」

 国際プレスカードを見せると「旅行者なら外出自粛なのでホテルに戻ってもらいますが、プレスならOKです」。ロンドン在住の香港・チャイニーズのマーチンが教えてくれた「ロンドン市内には外出自粛を守らせるために500人の警察官が配備されている」という話は本当だった。トラファルガー広場にあるネルソン提督像の周りに人がいない。走っているバスに乗っている人もいない。日が暮れたころに着いたチャイナタウン、劇場街はゴーストタウンと化している。市内中心部のピカデリーサーカス、オックスフォードサーカスも人がいない。まるで<自分だけが生き残った>SF映画の主人公のような気がしてきた。唯一遭遇した報道カメラマンに「お互いに(新型コロナには)気を付けよう」と言葉を交わして別れ、宿に帰ろうと地下鉄に乗った。ひとつの車両に数人しか乗っていない。まだ午後8時だというのに──。=つづく

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