米ドラフト1000人指名漏れ 日本に候補者大量流入の可能性

公開日: 更新日:

 新たなターゲットになるのか。

 12球団の助っ人補強は主に、メジャーの控え選手やメジャーに定着できないマイナーの選手を獲得することで成り立っている。だが、いまは日本はもとより米球界も開幕のメドが立っていない。各球団の渉外担当は本来この時期、シーズン途中の補強のための調査、交渉をするものだが、渡米して視察することができない。いまだ見えない開幕後に向けて、映像やトラックマンデータなどで各選手をチェックしたり、助っ人たちのケアをしたりしているのが現状だ。

 そうした中、12球団の助っ人補強戦略に変化をもたらす契機となりそうな出来事が、同じくコロナ禍にある米球界で起きている。毎年6月に行われるMLBのアマ選手対象のドラフトが延期になっただけでなく、その規模も大幅に縮小されることが決まりそうなのだ。

 指名枠は最大で10巡目までとなり、公式戦が中止になった場合は、5巡目で打ち切りとなる可能性が高いという。指名漏れした選手はドラフト外(契約金2万ドル)でオファーを待つことになる。

 通常、メジャーのドラフトは1球団当たり最大40人を指名できる。指名選手は全30球団で1200人に上るが、仮に5巡目までとなった場合、1050人もの選手が指名漏れとなる。

■買い叩かれる大学生

 さらに、来年の2021年ドラフトも、通常の半分となる20巡目までとなる可能性がある。このルール改正に大物代理人のスコット・ボラス氏は、「多くの若者たちが大学に行かざるを得なくなる。トップから200人に入らない選手は、学校へ戻るしかなくなってしまう」と怒りの声を上げている。

 在米マスコミ関係者がこう言う。

「上位指名が確実なトッププロスペクト(有望株)は安泰でしょうが、指名漏れした選手はドラフト外で入団しても200万円しか契約金をもらえない。11巡目選手の契約金は1300万~1400万円程度ですから、かなり安く買い叩かれることになる。高校生であれば大学へ進学し、翌年以降のドラフトを見据えることができますが、特に頭を抱えているのが大学4年生です」

 大学4年生にとっては、その年のドラフトが事実上、プロ入りへの最後の砦。彼らにとっては後がないだけに、メジャー側も足元を見て、指名順位を低くし、契約金を抑えようとする傾向がある。前出の関係者が続ける。

「米国では、大学生のスポーツ活動(野球の場合は公式戦出場)は4年生までという決まりがあるのですが、全米大学体育協会(NCAA)は加盟校に対し、野球などの春季スポーツに限り、来年度も活動期間を与える救済措置を発表した。来年のドラフトでも、大学生として指名を受けられるチャンスが得られる。しかし、大学でもう1年プレーしたとしても、来年も指名枠が1球団20巡目までに縮小されれば、指名される保証はない。コロナ禍により各家庭、各大学も経済的な打撃を受けており、選手が途中退学を強いられ、大学側も奨学金支払いを拒否するケースが出てくることも懸念されています。苦境に立たされていることに変わりありません」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  5. 5

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  1. 6

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  2. 7

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  3. 8

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  4. 9

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する