岩村明憲は垢抜けない野球小僧 味方も多いが敵も多かった
岩村明憲(41)はこの連載で話した青木宣親と同様、メジャーに行く前と後で、かなり性格が変わった選手です。
僕が彼に抱いた最初の印象は、「田舎から出てきた都会に憧れる少年」。
派手な服を着て、派手なネックレスをジャラジャラ鳴らして……一向にあか抜けない。それでいて、いざ打席に立つと火の出るような痛烈な打球をかっ飛ばす。愛媛から上京して舞い上がっちゃったけど、実力は本物……いかにも典型的な田舎の野球少年ですね。
僕のことを「哲にい」と慕ってくれ、僕もそんな岩村を何かと気にかけて可愛がっていました。
性格は、とにかく負けん気が強い。彼の座右の銘は「何苦楚」。まさにその言葉通り、反骨心の塊です。コーチに怒鳴られようが何を言われようが、まったくへこたれない。それどころか、「クソ! いまに見てろよ」と言わんばかりに叱責を力に変えていました。そんな岩村も、自分を抜擢してくれた若松さんと、その師匠筋の中西太さんには頭が上がらなかった。特に中西さんには何かあるたびにアドバイスを求めていたほどです。