大相撲7月場所“裏情報” 協会を襲う大減収と力士給与カット

公開日: 更新日:

“コロナ場所”を制するのは?

 3月場所以来、実に4カ月ぶりとなる土俵は、力士にとって心身両面で大きな負担がかかる。

 コロナによる活動自粛期間があったことに加え、今回は出稽古も禁止。ぶっつけ本番の土俵だ。

 玉ノ井親方(元大関栃東)はスポーツ紙の取材に、「休場明けで関取衆と一度も稽古せずに臨むのと同じ感覚」と話している。出稽古は本場所で当たるであろう相手の情報収集と、自身の調整を兼ねている。それができないのだから、ほとんどの力士は調整遅れで臨むのは必至。白鵬や御嶽海は不安を口にし、中には隆の勝のように「稽古ができない時期は5キロくらい痩せた」と話す力士もいるほどだ。コロナ禍での活動自粛を経て開幕したプロ野球では、開幕から故障者が続出しているが、相撲も同じ事態に陥る可能性もある。

■稽古不足で立ち合いのだまし合いに拍車

 メンタル面も心配だ。本場所は3月場所と同様、徹底したコロナ感染対策のもとで開催される。協会は力士や関係者に感染者が出ても、即時開催中止にはしないというが、7月13日に制定されたガイドラインによれば、力士や力士の同居家族がコロナに感染した時点で休場となる。

 支度部屋ではマスク着用が推奨。取組前と後の髷結い時は、マスク着用が義務づけられる。部屋と国技館の移動時、寄り道は禁止で直行直帰。密集を避けるため、十両は相撲教習所が支度部屋になり、風呂場も浴槽は使えず、シャワーのみだ。

 もちろん、開催中の不要不急の外出は自粛。用があって外出する際には「いつ、だれと、どこに」を明確にし、師匠に報告しないといけない。負けた力士がゲン直しに夜の街へ繰り出し、パーッと騒いでストレスを発散するのは困難。大きなストレスを抱えながら15日間を過ごすことになる。

 そんな見切り発車の今場所の展望について、ある親方は「最初の3日が勝負だろう」とこう話す。

「3月場所中は多くの力士が『無観客だと誰のために相撲を取っているのか』と悩んでいた。7月場所は1日約2500人とはいえ、久々にお客さんの前で相撲が取れる。舞い上がって調整不足なのに張り切りすぎてケガ……という恐れはどの力士にもある。かといって、15日間しかない本場所で様子見をしている余裕もない。浮かれず、慌てず、冷静なスタートが切れるかどうかが勝負の分かれ道になります」

 では、心身両面で力士の負担が大きい今場所を制するのは誰か。評論家の中澤潔氏は「新大関の朝乃山に期待している」と言う。

「まず前置きしておきたいのが、最近の相撲は取組時間が短い。幕内はだいたい1日20番、15日で300番です。昨年1年間、全場所の取組時間を計測しましたが、どの場所も100番近くが3秒も持たずに決着がついている。相撲は本来取っ組み合いのはず。それが今や、立ち合いのだまし合いで勝負が決まってしまう。コロナの影響で稽古不足というならば、だまし合い、ごまかし合いに拍車がかかるでしょう。しかし、奇策に頼る力士は正攻法に弱い。そこで右四つという自分の形を持っている朝乃山です。相手も右四つにさせまいと、あの手この手を打つでしょうが、朝乃山は前に出ながら得意の体勢に持っていく相撲がうまい。小細工に惑わされず今場所を制すれば、年内の横綱昇進もあると思います」

 初日は隆の勝と対戦。新大関が白鵬、鶴竜の2横綱を押しのけて2度目の優勝を飾り、最高位への足がかりをつくるか。

【写真】【大相撲7月場所2日目】半年ぶり「有観客」開催に迫った!(21枚)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党が急失速か…参院選「台風の目」のはずが賛同率ガタ落ち、他党も街頭演説で“攻撃”開始

  2. 2

    ドジャース大谷翔平「絶対的な発言力」でMLB球宴どころかオリンピックまで変える勢い

  3. 3

    中日についてオレが思うことを言っちゃおう。一向に補強もせず、本当に勝ちたいのだろうか

  4. 4

    BoA、五木ひろし、さだまさし、及川光博…「体調不良で公演中止」が相次ぐ背景

  5. 5

    5周年のSnow Man“目黒蓮独走”で一抹の不安…水面下のファン離れ&グループ内格差

  1. 6

    参院選神奈川で猛攻の参政党候補に疑惑を直撃! 警視庁時代に「横領発覚→依願退職→退職金で弁済」か

  2. 7

    阿部巨人が今オフFA補強で狙うは…“複数年蹴った”中日・柳裕也と、あのオンカジ選手

  3. 8

    教え子の今岡真訪が蹴った“倍額提示”…「お金じゃありません」と阪神入りを選んだ

  4. 9

    兵庫県警まで動員し当局が警戒…NHK党・立花孝志党首の“あり得ない”参院選の街宣ぶり

  5. 10

    巨人無残な50億円大補強で“天国から地獄”の阿部監督…負けにお決まり「しょうがない」にファン我慢限界