山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神藤浪へのジレンマ 与死球0は進化ではなく矮小化では?

公開日: 更新日:

 阪神藤浪晋太郎のここまでの成績は、4試合に先発して0勝4敗、防御率4・00、投球回数27、被安打24、与四球12、与死球0、奪三振数28。前回(14日)の広島戦では早い回から打ち込まれたものの、その前の2試合はいずれも7回以上を投げ、自責点1。味方の援護や交代のタイミング次第では勝利をつかんでいてもおかしくなかった。

 藤浪の場合、その注目度の高さから一度の乱調が大きな話題になりがちだが、冷静に成績だけを見てみると、着実に復調しつつあると言っていいだろう。勝敗はともかくとして、150キロ台の剛速球を武器に投球回数を上回る三振を奪い、荒れ球だから与四球は多いものの、持ち前の馬力で非効率的に打者を抑え込んでいく。そんな往年の野茂英雄のようなピッチングこそが、そもそもの藤浪スタイルだったわけで、それを思うと今季ここまでの投球内容は実に藤浪らしいと言える。

 ただし、与死球が0であるということは大きな変化だ。藤浪といえば、近年の不振のきっかけや要因として右打者への死球癖が議論の的となってきた。とりわけ藤浪の不振が深刻化した2017年は投球回数59で与死球8という極めて高い死球率を記録し、このあたりから藤浪は登板するたびに死球を与えるかどうかが注目されるようになった。よって、今季の与死球0という変化はすなわち藤浪の成長であると単純に解釈することもできそうだが、個人的には少し疑問が残る。なぜなら藤浪は3年連続2桁勝利を記録していたころから、そこそこ与死球の多い投手だったからだ。

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