ミスター雁之助さん デスマッチの鬼は介護職員に大転身

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 群雄割拠した1990年代のプロレス界。大仁田厚率いるFMWはデスマッチ路線で大人気となった。本日登場のミスター雁之助さんは、大仁田さんとタッグを組んで世界王座を獲得するなど若手のホープとして大暴れした。FMW倒産後は、後継のWMF、全日本プロレス、自主興行「鬼神道」などで活躍。引退は18年4月だったが、今、どうしているのか?

 ◇  ◇  ◇

 熊本県熊本市南区。ミスター雁之助さんと会ったのは、サービス付き高齢者向け住宅「ブロッサムはません」だった。

 入念なアルコール消毒と検温、買ったばかりのマスク着用で館内に入ると制服姿で迎えてくれた。

「今年3月から介護職員として働いています。仕事は、食事や入浴、排泄の介助、おむつ交換など入居者さまの身の回りのお世話全般ですね」

 眼鏡に白髪。額や腕に深い傷痕があるが、柔和なまなざしはつい2年前まで鬼のような形相でリング内外を大暴れしていたとは想像もできない。

「本当にそう。俺だって、よもや介護職員になるなんて思ってもいなかったから」

 どういった経緯で介護職員に?

「所属していた大学のプロレス研究会の3学年上の先輩が、ここの社長でね。『引退したらウチに来いよ』って。俺、大学卒業して以来プロレスしか知らないから、渡りに船でした」

 それが株式会社ヒューマンケアブロッサムズ(熊本市)。同社は介護事業や介護・福祉・医療コンサルティング事業をメインに、老健施設を熊本県と福岡県で11カ所運営している。

「最初は、福祉用具レンタルや厨房事業を行っている姉妹会社に入社したんです。で、仕事をしながら福祉用具専門相談員、次いで介護職員初任者研修の資格を取得して、今の会社へ移籍。この間、八代市の拠点に1年半いました」

 サービス付き高齢者向け住宅は介護不要者でも入居が可能で、賃貸契約にオプションで各種介護サービスを付帯するので、初期費用が少ないというメリットがある。

「入居者さまは40人で、ほぼ満室。3交代制の夜勤はキツいけど、終わった時の解放感と充実感がいいね」

 もちろん入居者を抱え上げることも。

「体力だけは誰にも負けない。プロレスやってて本当によかったよ。アハハハハ」

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