巨人菅野“後ろ向き”のメジャー挑戦…先駆者に鼻で笑われる

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「来季のMLB(大リーグ機構)のシーズンがどう行われるか、そこだけですね」

 8日、巨人菅野智之(31)がこう言った。

 MLBがこの日、菅野のポスティング申請が受理され、全30球団に契約可能選手として通知したことを受けてだ。

「一番の懸念材料は異国の地で初めての経験ということで、どうなるか分からないという、そういう不安の状況で果たして自分のパフォーマンスができるのか」と本人。つまり米国のコロナ禍の状況次第で、残留もあるということだ。

 さらに「(メジャーか残留か)天秤にかけているわけじゃない」と言いながら、「向こうに決まる前提で話は進めたくない」とも。ハッキリしているのは、菅野にはどんな状況だろうと自分はメジャーでプレーするという強い意志がないことだ。

■野茂移籍時はストが影響し契約もマイナーだった

 確かに米国のコロナ禍は日本の比ではない。状況次第では今季のようにシーズンが短縮されるかもしれないし、予定通り4月1日に開幕できない可能性もあるだろう。菅野が言うように「自分のパフォーマンス」が発揮できないケースもあり得る。ただ、来季がどうなっているかなんて、現時点ではだれも分からない。それは今後、米球団と交渉しても一緒だ。それより何より、菅野には何が何でもメジャーで自分の腕試しをするという気概がないことが問題ではないか。

 例えば日本人大リーガーのパイオニアである野茂英雄が海を渡ったのは1995年。前年からのストライキの影響で、開幕が1カ月近くズレ込んだ上、レギュラーシーズンが162試合から144試合に短縮されたタイミングでの移籍だった。しかも、ドジャースとはマイナー契約。約2億円の契約金は手にしたものの、近鉄時代に1億4000万円だった年俸は980万円まで下がった。シーズンがどうなるか分からず、年俸も格安に。先の保証がなくても、メジャーでのプレーを選択した。

 菅野の巨人の先輩である松井秀喜は、メジャー挑戦時の会見で自らを「裏切り者」と表現。「許されるなら将来、また巨人でプレーしたい」と涙ながらに話したのに対し、当時の渡辺オーナーは「戻りたいなら戻ればいい。ただし、席があればな」と発言した。

 野茂も松井も日本のプロ野球界では超一流。そのまま日本でプレーし続ければそれなりの地位は保証されたのに、退路を断って渡米した。世界最高峰のレベルで自分の力を試したいという強靱な意志を貫いたからこそメジャーでも成功した。コロナ禍による不安は理解できるとしても、菅野に彼らほど強い気持ちがあるかといえばクビをかしげざるを得ないのだ。

「向こうに決まる前提で話は進めたくない」とすれば、浮上するのは1年後、33歳になるシーズンに海外FAを行使してのメジャー挑戦になる。

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