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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

都の感染対策の実情 11万人のボランティアにも感染リスク

公開日: 更新日:

 理由は組織委と都の経費節減だ。ボランティアの報酬は、ユニホームと1日1000円の交通費、活動中の飲食、ボランティア保険だけ。宿泊費は「自己負担・自己手配」(組織委)だ。

 真夏の炎天下、1日8時間、計10日間をこの報酬で活動するボランティアは、コロナ前も「やりがい搾取」と批判が相次いだ。組織委と都が経費節減を優先し、ボランティアの健康確保への気配りが欠けていたためだ。コロナ禍の現在、組織委と都は、ボランティアを生命、健康に関わる深刻な感染リスクにさらしている。

 ボランティアの感染リスクをより高めるのが競技運営の過酷さだ。暑さ対策が不十分として、IOCは競歩マラソンの会場を東京から札幌市に変更した。だが、競技開始時間はあまり変わらず、午前5時半から午前7時に始まる。マラソンや競歩のコースがある札幌市はJRや地下鉄の午前2~3時台の特別ダイヤで、ボランティアを配置する方針だ。真夏とはいえ夜通し待機すれば、体力の消耗は避けられず、免疫反応の低下を招く。

 また、ボランティアには海外から参加予定の数千人が含まれている。訪日外国人観光客同様に入国後2週間の待機を免除するなら、内外のボランティア間の感染リスクがより高まるのは明らかだ。

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