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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

強行開催は医療行政の逼迫と自治体の人員不足を加速させる

公開日: 更新日:

 オリンピックの強行開催は、ただでさえ逼迫している医療行政と自治体の人員不足に拍車をかけてしまうのではないか。

 自治体が新型コロナ感染防止に人的、財政資源を奪われている現状を背景に、島根県の丸山達也知事は2月17日、聖火リレーの中止検討を表明した。東京オリンピック・パラリンピックありきで負担を強いる政府、組織委員会を批判した。島根の病床使用率は2・4%で、全国で2番目の低さを誇る。コロナ感染対策に注力し、県民が外出自粛や会食を控えた結果だ。引き換えに、飲食店をはじめとする県内経済は大打撃を受けたが、県が支援する財政余力はない。

 組織委は2月25日、聖火リレーの感染対策を公表した。「聖火ランナーは走行2週間前から会食を控える」「著名人ランナーは公園など観客を制限できる場所を走る」「沿道の応援は認め、声援の代わりに拍手する」

 これは、国民が自らを律してきた感染対策と比較にならない緩さだ。

 組織委の橋本聖子会長は五輪担当相在任中、オリンピックに医療従事者1万人を集めると表明した。組織委は10日間拘束で5000人を募集していたが、コロナ対応に追われる医療従事者からそっぽを向かれていた。橋本氏の算段は仕切り直しを図ったものだが、オリンピック期間中にコロナが収束していなければ、実現不可能な数字だ。願望と空想に基づく政府、組織委の姿勢は、オリンピック開催を国民の健康、生命より優先するというに等しい。

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