対立激化し脱退続々…欧州スーパーリーグ構想の落とし所

公開日: 更新日:

 欧州の12のメガクラブが創設した「欧州スーパーリーグ(SL)」が波紋を広げている。

 19日に英サッカー協会総帥のウィリアム王子が「ファンの(SLに対する)懸念を共有する」とツイッターに書き込み、欧州各国協会の上部団体UEFA(欧州サッカー連盟)は「断固阻止」を表明。欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝(26日~)に勝ち残ったSL組のレアル・マドリード、マンチェスター・シティー、チェルシーの3チームについて「23日に開催される会議でCL追放が決まる」(UEFAメラー執行委員)とまで言い切った。

 すると20日、マンチェスター・シティーが正式に脱退を表明。続いてリバプール、アーセナル、トッテナムも脱退を発表するなど、プレミアリーグ6クラブのうち4つが脱退する事態に。チェルシーも離脱を希望していると報じられている。

 泥沼化必至の状況ではあるが、UEFAもSLも<共倒れ>だけは避けたい。そこで「CLがSLを取り込む格好で共存していく」(サッカー関係者)ともっぱらだ。

“3層構造”のピラミッド型CLとして運営か

 そもそも、CLには改革案があり、2024年から「参加チームを現状の32から36」として「総試合数を125から225」に増やす予定。しかし「欧州5大リーグ以外の競争力の低いチームも参入するので低レベルの試合が今以上に増える」ことが懸念されている。

 12のメガクラブ(1カ月後には15チームに増える)に実力派の5チームを加えた20チームによる「すべてハイレベルでスリリングな試合」を提供するSLが支持を集める可能性は高い。UEFAはSLと真っ向勝負を避け、うまく取り込んで共存する方が得策なのだ。

「UEFAはCLを<スーパー>と<レギュラー>の2クラスに分け、SLをCLの最上位リーグに位置付ける。SL以外の強豪が集まるレギュラークラスをCL2部リーグとし、さらに現行の欧州リーグ(EL)を3部リーグとする。【3層構造のピラミッド型CL】として運営される公算が大です」(前出の関係者)

 専門誌サッカーダイジェストで編集長を務めた六川亨氏がこう言う。

「これまでスーパーリーグ構想は何度も浮かんでは消えてきたが、現行CLとは別組織として並列開催されることはあり得ないし、お互いにいがみ合って共倒れすることも現実的ではない。今後は<共存>のために落としどころを探すことになるでしょう」

 今後の推移に注目だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性