東京五輪の事前合宿スタート 各自治体が抱える事情と思惑

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 開催まで45日を切った東京五輪。世論調査で賛成が反対を上回るなど、風向きが変わりつつある。五輪ムードが高まるきっかけのひとつが群馬県太田市の事前合宿受け入れだった。全国の102以上の自治体が事前合宿や交流の中止を決める中、豪州ソフトボール代表を迎えた。あとに続く自治体もある。

 コロナ禍の中、なぜ受け入れを決めたのか。新潟県加茂市は、ロシアの体操代表選手団を受け入れる予定だったが、4月5日付でキャンセルの通知が文書で届いた。しかし、そのわずか10日後、ポルトガル大使館から同国の体操代表を受け入れてほしいというオファーがあったという。

■少人数、短期間ならコントロールできる

「同時期に台湾とクロアチアからも体操選手団受け入れの打診がありました。人数、滞在期間を比較し、少人数、短期間であればコントロールできると判断した。ポルトガルはワクチン接種など感染対策が進んでいたというのもあります」(加茂市スポーツ施設勤労者体育センター)

 ポルトガルは7月13~18日の滞在で、選手1人、コーチ1人の計2人。台湾の人数は不明だというが、クロアチアは選手2人、コーチ2人の計4人だった。職員は常駐のアテンドを1人のみ、合計でも4人程度に絞ったという。とはいえ、地元からの反発もゼロではない。

「市外や県外からは『五輪自体に反対』『受け入れはやめた方がいい』というご意見の電話やメールをいただいていますが、選手たちは毎日PCR検査をしてワクチンも打っているので、何もしていない人たちよりは安全と考えています」(同)

選手の精神的な負担

 それよりも頭を悩ますのは、経費の問題と選手のメンタルケアだという。

「感染対策にかかった経費は国の負担ですが、上限があります。例えばホテルの空室確保は選手団の人数分のみで、加茂市の場合は2部屋。でもそれでは隔離措置にはなりません。滞在フロアの貸し切りとなると、施設との相談になります。検査費用にも上限がある。県が検査機関と契約するため、検査費用が上限を超えれば、超えた分は市の負担。選手は外出できないので、息抜き方法を考えていますが、いい案が浮かばないのが現状です」(同)

 選手の精神衛生を考え、受け入れを断念した自治体もあった。岩手県北上市は5月19日にセルビアの陸上選手団の受け入れ中止を決めた。

「コロナ対策の強化により、選手やスタッフに対して精神的な負担やストレスを与えてしまうのではないかという懸念が一番の理由です。団体競技であれば、外出できなくても選手同士で話したりもできますが、北上市の場合は砲丸投げの男子選手1人、走り幅跳びの女子選手1人。スタッフは6人程度を予定していたと聞きました。一発勝負に近い競技でもあるので、競技に影響が出てしまうのではと判断しました」(北上市スポーツ推進課)

■「来てよ」と言っておいて「来るな」とは

 豪州に続く来日は大阪府泉佐野市でキャンプインするウガンダ選手団(ボクシング、競泳、パラ競泳など)といわれている。その泉佐野市が受け入れを決めた理由は明快だ。

「こっちから『来てよ』と言っておいて、急に『来るな』というのもおかしな話。ホストタウン事業はもともと国の事業。国が五輪を中止するとならない限り、断れないなと。職員は5~6人で対応しますが、送迎は人手の問題で民間企業の旅行業者に委託する予定です。市民からはいくつか電話があったようで、『コロナ禍やから中止した方がええんちゃう』という声もあるし、『ワクチン打ってるならええのにな』という声もありました」(泉佐野市自治振興課)

 ボクシングは、選手3人、コーチ2人、競泳は選手1人、コーチ1人。バドミントンと重量挙げは未確定だが受け入れを予定している。

 事前合宿を待望したケースもある。長野県下諏訪町は昨年まで合宿のオファーはゼロ。今年4月、アルゼンチンのボートとカヌー、イタリアのボート選手団から打診され、受け入れを決めた。

「数年前から誘致活動はしていて、アルゼンチン代表には令和元年に視察に来てもらった経緯があります。関わる職員を極力少なくしてマニュアルにのっとればできると判断しました。選手たちは国際大会でバブル方式(注)を経験されていると聞くので、しっかり状況を認識していると思う。むしろ、こちらが接しないよう強く意識しなければ。地元の中学、高校のボート部が5つあります。練習時間を分けて、受け入れた選手たちと接触しないよう計画しています」(下諏訪町体育館)

 すっかり五輪に翻弄されている各自治体からは疲労がにじみ出ていた。

(注)バブル方式…選手らの宿泊地や競技会場を大きな泡で包むようにして外部の人たちと接触を遮断するコロナ感染対策。

豪ソフト代表 日本側の感染対策に注文

 群馬県太田市で東京五輪の事前合宿中のオーストラリアのソフトボール代表が、日本の新型コロナ感染対策の甘さを指摘し、相手チームや接遇役の市職員のワクチン接種など感染対策の徹底を求めていることが分かった。

 来日後初の練習試合が開かれた7日、豪選手団は対戦相手の神奈川県のチームに「ワクチン未接種なら、プレー中もマスクを」と要求。豪側のボールに日本側が触れることも禁止した。

 6月下旬から選手団が続々と来日。各自治体は早急な対応を迫られる。

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